●中耳炎は3才までに子供の約8割がなると言われるほど多い!
●必ずしも痛みや熱があるわけではない!
●軽症で気づいてあげるには耳鼻科!
●重症では、抗生剤の倍量投与、切開が必要なことも!
●後遺症を残さぬためにも完治まで受診を!
●少しサボっても、間が開いてしまってもまた受診し確認していくことが大切!
どんな病気?
鼻の奥と耳の中(中耳)は耳管という管で繋がっています。
その管を介してバイ菌が中耳内に入って炎症を起こしウミが貯まるもの。
なぜ子供はなりやすいのか?
中耳炎は3才までに子供の約8割がなると言われるほど多い病気です。
①子供のほうが中耳炎のきっかけとなるカゼをひきやすい(特に鼻閉、鼻汁が影響)
②耳管が大人に比べて短く、太く、水平に近いためバイ菌が入っていきやすい。
一般に思われているような耳から水が入ったりして起こるわけではないのです。
耳鼻科では無症状で見つかることも少なくないです。
逆にこの段階で早期治療が開始できるか、なってないうちに鼻カゼなどの早期治療ができると本当は良いのです。
そのため、良くお伝えするのは“首から上のかぜ様症状の場合は耳鼻科をまず受診しましょう!”ということ。
症状は?熱や痛みは必ずしもでないことに注意!
①耳の痛み
②聞こえにくさ
③発熱
④耳だれ
といった症状。
お子さんでカゼのような鼻水や咳などがあり、原因が分からず高熱が出ている場合や機嫌が悪い場合などは中耳炎になって発熱しているケースもあり、耳鼻科でしっかり診察しましょう。
正常な鼓膜
急性中耳炎 軽度
治療は?
耳鼻科学会で提唱されている中耳炎治療のガイドラインを元に、患者さんのライフスタイルなども勘案して治療を考えていきます。
①抗生剤
鼻も中耳炎も軽度であれば抗生剤もいらない場合もあるが、ひどくなると治療には抗生剤が必要となります。
特に、重度の中耳炎の場合はガイドラインにも推奨されているように、のどの炎症だけなどの場合と比較して1.5~2倍量の抗生剤が必要になります。
②鼻治療 (鼻掃除、鼻吸入も含めて)
鼻も表面上は少なく見えても、実は奥に粘稠な鼻汁があることも多いのです。
お薬を内服中も可能な限りなるべく頻繁に鼻の掃除をする方が治りも早くなるし、そもそもお子さんが鼻つまりでしんどいのも緩和してあげるほうが良いでしょう。
当院ではその際、通常の鼻掃除では取りきれない奥の方までしっかり掃除することにも力を入れています。(痛みが少なく奥まで吸える柔らかいアマツ式吸引管を導入)
③鼓膜切開
当院では出来る限りの内服薬や処置で治すことを優先して治療します。
しかし、上に書いたような治療でも、
✔熱が続くなどの重度の中耳炎
✔1ヶ月以上の治療でも中耳の液が完全に引いていかない場合
は中耳に貯まったウミなどを出すために鼓膜切開を行う必要があります。
当院では、鼓膜麻酔を行ってから切開するので、痛みはほとんどなく可能です。
切開した鼓膜の穴はほとんどの場合、数日で閉鎖するが経過はみていくことが必要。
急性中耳炎 重度
治るまでしっかり確認を!
完全に治る(中耳に溜まったウミや液が完全に抜ける)までには2週間以上必要なことも少なくないです。
しかし、きちんと治るのを確認しないと特にお子さんの場合は、まだ液が貯まっているにもかかわらず何も言わず気付かないことも多いので注意が必要なのです。
しっかり完治するまで治療しましょう。
急性中耳炎の治癒過程でほとんど水のような液が貯留する状態は滲出性中耳炎といいます。
お子さんの場合はその状態になると何も言わないし、親御さんも異常に気付きにくい状態。(本来聞こえにくいはずだが、気付くのは困難・・)
耳鼻咽喉科の医師以外ではなかなか判断が難しいです。
実際はわずかに聞こえが悪いのに、普通に生活できてしまうため長期間経過してしまう。その結果、言葉の遅れや学習面への影響も出てしまう事になります。
ただ、治りが悪い場合の長期通院は大きな負担になり、間が少し開いてしまっても時には仕方ないもの。
最終的にしっかり完治を見届けてあげることだけはしていきましょう。
当院では、患者さんのための取り組みとして上の写真のように診断・治療過程を極細の内視鏡カメラでご一緒に見て頂きます。
これにより診断に責任を持ち、病気の理解を一緒に深めて頂くことができます。
長引くと通院の負担もあったり、治療へのモチベーションも低下しがちですが、頑張って一緒に治療しましょう!