✔めまいの原因はいろいろですが、耳(内耳、三半規管)が原因のめまいが一番多い!
✔メニエール病はそんなに多くない!嘘の診断が多い!
✔メニエール病の正確な診断は耳鼻科以外では困難!
✔良性発作性頭位めまい症(BPPV)が最多
それではもう少し詳しくみていきましょう!
メニエール病とは?
内耳という耳の奥にある器官内部(めまいを起こす三半規管と聞こえに影響する蝸牛の両方)で水ぶくれが起こることが原因と考えられています。
それによって①めまい発作(典型的にはグルグル回る感じ、軽いと船に乗ってる感じでフワフワ)と耳鳴りや耳のつまり感などの②耳症状を伴うのが特徴です。
そのため、めまいだけが症状の場合メニエール病である可能性は低いのです。
そのめまい、本当にメニエール病?注意すべきポイント!
メニエール病を自己診断して受診されるケース、内科などでメニエール病を疑われて来られるケースでも耳症状の有無を確認されていないのであれば、メニエール病である可能性は低いのです。
医師でもめまい診断はまだまだ苦手なことが多く、そう疑われたが耳鼻科で検査するとメニエール病ではない、ということが多々あります。
そのため、ポイントとしては
①めまいだけでなく、耳の症状がほぼ同時にでていたらメニエール病かも!
②ただし、同様の症状は突発性難聴でもでることがあり
③メニエール病の診断として聴力検査は必須とも言えるので、めまい診断の専門である耳鼻咽喉科を受診すること!
メニエール病と間違えられやすい病気
①良性発作性頭位めまい症(BPPV)
当院に受診されるめまいの患者さんの中でも最も多い病気です!
しかしまだあまり広くは知られていない病気です。
一番の特徴は主に頭を動かしたとき(頭をさげる、上げる、寝転がる、寝返りをうつ)に発作的に数十秒ほどでるめまいです。
強いめまいはメニエール病でもそうですが、吐き気や嘔吐を伴います。
耳鼻科でフレンツェル眼鏡という道具を用いて、眼振(めまいの原因になってる自発的な眼球の動き)の具合を検査し、診断をつけます。
リハビリが重要で、めまいで受診した時によく医師から言われるような“安静にして休んで下さい”、ではしっかり治りません!
病気についての知識、治療法についてしっかり理解することが重要なので、リーフレットもお渡しして治療にあたってもらいます。
②突発性難聴に伴うめまい
難聴が主体の病気ですが、めまいを伴うこともあり、初めて起こしたメニエール病とほぼ同じ症状となります。
③前庭神経炎
急に強いめまいを起こし始め、じっとしていてもめまいや吐き気が長い間続きます。風邪をひいた後しばらくしてなることもあり、ウイルスとの関連が疑われています。メニエール病にも似ていますが、聴力に異常はでません。
④起立性調節障害・自律神経のバランスの乱れ
本来、瞬時に働く必要のある自律神経の働きが悪くなり、立ち上がるときなどに頭の血流が充分にすばやく供給されないために意識がなくなって倒れてしまったり、目の前がまっくらになり倒れそうになります。
⑤首まわりからくるめまい
緊張や疲れ、運動不足などからくる肩こりで血流が滞り、ふわふわするような、めまいが出たりします。
また、頚椎という骨の変形によって、首を動かしたときに中を通る血管が圧迫されてしまい、めまいがでるものもあります。
⑥脳障害(脳梗塞、脳出血など)に伴うめまい
最も怖いめまいですが、めまいに加えて、ろれつが回らない、意識がなくなる、手足が動かなくなったりしびれがでる、などの脳神経症状やひどい頭痛を伴います。
以上、①~⑥まで病気を簡単に紹介しましたが、頻度的にもBPPV、メニエール病を含め、耳鼻咽喉科で取り扱うべきめまいが最も多いです。
検査は?
上述した病気とも鑑別しなければならないので、眼振、耳の所見、神経症状の有無などをまず一般診察で確認し、必要な検査を加えていきます。
●聴力検査
●頭位変換眼振
●シェロンテスト
●MRIやCT
など
こういった画像検査は脳からのめまいが否定できない場合などに、連携した病院に紹介して行っていただきます。
めまいに対する適切な治療とは!?
原因によって当然変わってきますし、また個人個人のもともとの三半規管の働きや治り具合によっても治療を変えていく必要があります。
メニエール病の場合は、内耳の水ぶくれを改善するために利尿剤を飲んだり、内耳の血流を促す薬などを使います。
また、注射による治療やリハビリ、生活習慣の改善を指導します。
また、疲れやストレスが大きく影響していると考えられることもよくありますので、その環境改善をしたり、抗不安薬などで治療したりします。
治る期間も個人差が大きいです。
メニエール病に限らず、めまいは長引くことも多く、いろんな治療選択肢を持たないと治療が難しいのが特徴でもあります。
何よりまず、的確な診断をつけることがめまい治療の第一歩です!