耳鼻科で処方された一部の”抗生剤の量が通常小児科でよく扱う投与量より多いからやめた方がいい”、”これくらいの状態なら使わないほうが良い”など小児科を標榜する医師から指摘されて、どちらが正しいの?と不安を抱えてしまっている両親がおられるようです。
薬の量については中耳炎、ちくのう(副鼻腔炎)など耳鼻咽喉科の病気の場合、”日本感染症学会ガイドライン”でも推奨されているように、耐性菌防止、薬の届きにくい病巣だからなどの観点から通常の感染症の1.5~2倍量の使用がむしろ勧められています。
ですので量については間違いではなく推奨量を状態に応じて処方しているだけですのでご安心ください。
また症状としては小児科診察では表面上カゼだけに見えても、実際には耳鼻科診察では鼻の奥に粘調なウミが貯まる副鼻腔炎があったり、中耳炎があったりと抗生剤が必須の状態があったりします。
(耳鼻科専門医ですら中耳炎の診断には特にカメラで確認が必要なこともめずらしくありません)
耳鼻科のそういった病気の診断ができていない、また標準治療法まではご存知ないために、小児科の気管支炎などの量と比較して多いと言われているだけと考えますので、ご不安に思わず内服していただいてよいと思います。
当然、予期せぬ副作用が出た場合は抗生剤に限らず中止していただかないとダメなこともありますのでご留意ください。
当院では昨今の耐性菌問題も考慮し、必要ない場合は極力抗生剤を使用しない方針ですが、耳鼻科領域の方が抗生剤の適応になる中耳炎や副鼻腔炎をしっかり見つけ治療をする分、抗生剤を使用する病気自体が多いのでしょう。
実際、必要があったのに抗生剤投与や必要な処置がなされておらずに中耳炎から鼓膜に穴が開いてしまったり、ちくのうが慢性化してしまっていたり、扁桃炎が重症化しているお子さんもよく遭遇します。
そういったこともあるので、病気のことや薬のことでご不明な点があれば、どうぞお気軽にお尋ねください。
以下に、正しい知識を具体的に書いたリンクを貼っておきます。